初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「二人は初めてのクリスマスじゃないの?」
「え、そうだけど」
先輩と再会したのは夏だったし、付き合いだしてからもまだ数カ月なんだから当然。
「だったら、離れて住んでいるわけじゃないんだし少しぐらい時間取れるんじゃないのかな?」
急に私たちの付き合い方に踏み込まれた気がして、驚いたのは今度は私の方。
坂下くんの言う事には一理ある。でも、先輩は何時になるかわからないのに約束が出来ないくてごめんって言ってくれた。
私だって子供じゃないんだし、仕事なら仕方ないと頭で割り切れる。それにお休みに入ってから改めてゆっくりしようって言ってくれたから。
付き合い始めてすぐ、あまり会えなくなったのもある。でもそんな時にも少しでも時間を作って会いに来てくれている。だからこれ以上ワガママなんて言うことはできない。
「でも、仕事だから仕方がないじゃないかな」
なるべく寂しそうにならないように、注意していったつもりだった。
だけど、その私の努力もむなしく、
「なんで?」
「なんでって……」
こんな強い調子で言う坂下くんを知らない。
問い詰めるような坂下くんの視線から目がそらせない。