初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
その視線を逸らしたのは坂下くんの方。
そして、「ごめん」と小さく言った。
ハァー
「ごめん、胡桃澤さんたちの事に口を出して」
「え、や。あの、うん大丈夫」
何が大丈夫なのか。
ホント私って咄嗟の事にうまく返せない。
坂下くん、呆れた?
今日ここに私を誘った事後悔した?
坂下くんの寂しさを紛らわせるならなんて考え自体が間違ってた?
「くるみが……いや、胡桃澤じゃなくて。うちの奥さんくるみって言うんだ」
その瞬間、あの時クルミと呼んだのは私ではなく奥さんの名前だったのかと思い当る。
そうか、なんだ。
そうだったのか。
私もほんと、おめでたい。
クルミって呼ばれて嬉しくなってた。
でもそれは、私ではなくて……
「あ、うん、そうなんだ」
「くるみは仕事が忙しい俺に文句も言わずにいつも家で待っていてくれたんだ。それなのに俺は、それが当たり前で」
坂下くんは噛み締めるように言ってからグラスを掴む。
だけど、それを掴んだまま目線をそこに向けてまた口を開く。
「決して蔑ろにしているつもりはなかったし、週末には出来る限り一緒に過ごした。だから、それでいいと思ってたんだ俺は」
「失礼します、お待たせしました」
まるでタイミングはかったようにそこに料理が運ばれてきた。
そして、「ごめん」と小さく言った。
ハァー
「ごめん、胡桃澤さんたちの事に口を出して」
「え、や。あの、うん大丈夫」
何が大丈夫なのか。
ホント私って咄嗟の事にうまく返せない。
坂下くん、呆れた?
今日ここに私を誘った事後悔した?
坂下くんの寂しさを紛らわせるならなんて考え自体が間違ってた?
「くるみが……いや、胡桃澤じゃなくて。うちの奥さんくるみって言うんだ」
その瞬間、あの時クルミと呼んだのは私ではなく奥さんの名前だったのかと思い当る。
そうか、なんだ。
そうだったのか。
私もほんと、おめでたい。
クルミって呼ばれて嬉しくなってた。
でもそれは、私ではなくて……
「あ、うん、そうなんだ」
「くるみは仕事が忙しい俺に文句も言わずにいつも家で待っていてくれたんだ。それなのに俺は、それが当たり前で」
坂下くんは噛み締めるように言ってからグラスを掴む。
だけど、それを掴んだまま目線をそこに向けてまた口を開く。
「決して蔑ろにしているつもりはなかったし、週末には出来る限り一緒に過ごした。だから、それでいいと思ってたんだ俺は」
「失礼します、お待たせしました」
まるでタイミングはかったようにそこに料理が運ばれてきた。