初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
出た、イケメンシェフ。

ノリちゃんも想像以上だったのか目が釘付けになってる。やっぱりそんな様子に木村はちょっとご機嫌斜め。
確かに整った顔をしてるけど、それこそ私とは違う世界の人だ。現実的じゃないっていうか……、まぁ要するに関係ない。

ノリちゃんは一人でデザートの説明を受け私の分もオーダーしたらしい。どうせシェアするからいいのだけれど。

一通り話し終えた後、相良さんの方を見たシェフは、

「あぁ、言い忘れてたけど、もうすぐ桃華ちゃんたち来るから」

桃華ちゃん――。その名前、どこかで聞いた事があるような……

「そうですか」

相良さんの受け答えにちょっと驚いた顔をしたシェフは私たちのテーブルを見渡して小さな声で相良さんに何か言ってから「では、ごゆっくりどうぞ」今日一番の微笑みを浮かべてから去って行った。

顔見しり程度なんて言ってたけど、やっぱり仲いいのかな。
何言ったかわかんないけど、相良さんも頷いてたし。

「ほら、前に言ってたイトコ。今日来るらしいから」

相良さんが私に説明してくれた。そういえばそんな事言ってたっけ。

「すごい偶然、同じ日に予約なんて」

「だな。まぁ嫌なのも一緒についてくるけどな?」

って、そのイトコさん婚約者がいるって言ってたっけ。嫌な奴、なの?

「はは、別に俺とは合わないだけ」

苦笑いで相良さんはそう答える。

でも何故か引っかかる。その桃華ちゃんという人。イトコだって言ってるんだからそうなんだろうけど。
なんとなくモヤっとしたまま目の前に置かれたデザートのプレートに意識を持っていかれて、私はそれ以上考えるのをやめてしまった
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