初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「潤にぃ」
その可愛らしい声に夢中になっていたデザートプレートから顔をあげた。
そこにはその声に似合う可愛らしい女の子、二十歳ぐらいだろうか。その後ろにはメガネをかけてスーツをスマートに着こなした男の人が居た。スタッフの人に案内されてきてたから、きっとこの人が……
「モモ、少し声が大きいですよ」
「あら、いいわよ。他にお客様いらっしゃらないし」
「本当にアヤノもモモには甘いですね」
「桃華ちゃんに一番甘い貴方に言われたくないわ」
「アヤノ、お客様の前ですよ?朔也に言いつけますよ?」
ハァー
そこに盛大な相良さんのため息。
このやり取りの最中、テーブルに座る私たちは状況を判断すべく無言でそれを見ていて、知り合いのはずの相良さんはいつこの会話に入るのだろうと気になってはいた。
だからこれには驚いた。だけど、
「ほら、また彼が呆れてるわよ」
一瞬止まったはずなのに、またこの二人が言い合いをはじめてる。
それをチラリとみた相良さんはテーブルの私たちに向かって、
「今来たのはイトコとその婚約者。でその人は大学の同級生らしい」
簡潔に人物紹介をすると、「桃。そいつらほっといていいから」
「え?あ、えと。あーうん……」
やっぱりまだ若いんだな。その態度もしぐさも初々しい。
可愛らしいななんて思って見てると、トトトっと相良さんの隣に寄ってきて、
「あのっ、潤兄がいつもお世話になってます」
ペコリと頭を下げた。