初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「なに、桃。仕事帰り?」
「あ、うん。今忙しい時期だから」
仕事?大学生のリクルートスーツなのかと思ってたけどそうじゃないのか。まぁでも若い事には違いないだろう。
「へー、頑張ってんだな」
そう言った相良さんの目尻が下がる。そんな優しい目で見つめて、まるで愛しいものをみるような……
「うん、潤にぃも。」
その時、横から小さな声でノリちゃんが「なんかココってイケメンのたまり場なの?」って言うから思いっきり吹き出してしまった。
たしかに今来た男性も冷たそうな印象があるものの知的メガネ男子だ。ここのシェフが甘い印象でこの人は正反対の感じ。そんな二人が並んだらかなり目立つだろう。
木村だって中の上ぐらいなのに、この場では随分とかすんでしまう。どうせ木村はノリちゃんしか見えてないから別にいいのだけれど。そんな事考えつつ、みんなの顔を見渡していると、
「なに?クルミちゃんもあういうのが好みなの?」
と急に相良さんに聞かれて、ポカンとして見てしまった。
いや、まったく。全然。これっぽっちも。私、冷たい人はダメ。冷たくされただけでへこむし、優しくされ過ぎても不安になるんだけど。だいたいイトコ、桃華ちゃんだっけ。その婚約者でしょう?ないない、ありえない。
「あーでもちょっとタイプかもねー?クルミ?」と言った後私の耳元で「坂下くんとちょっとタイプが似てない?」なんて言い出すノリちゃん。
「へーそうなんだ」
あれ?相良さんに目を逸らされた。