初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「まったくキミは……」
そう言って相良さんに話しかけたのはさっきの男の人。だけどすぐに私たちの方に向き直り、
「あぁすみません、ご挨拶遅れまして。彼のイトコの婚約者の堂地(ドウチ)です。騒がしくして申し訳ない。久しぶりに会って嬉しかったようなので」
そう言ってその彼女の肩を抱き愛おしむように見つめる。
さっき甘いってアヤノさん?が言ってたのはこの事か。とすぐに思い当る。
「あー堂地さんたちはお食事まだですよね?私たちは済みましたし、よかったらこちらの席で相良さんたちと一緒に」
って、ノリちゃん。何を言い出すのかと思ったら、相良さんたち。たちって、たちって?
「いや、でもせっかく四人で楽しんでおられるのに邪魔しては申し訳ない。」
「いえ、私たちは旅行のお土産とその話が出来たので、もう」
そう言って席を立ちそうな勢いのノリちゃん。
まだ九時過ぎだけど、明日は木村の実家にもお土産持ってくって言ってたっけ。
私はもちろんここから30分とかからない所に住んでるから大丈夫、だけど。
そんな話をしているうちにいつの間にか木村が会計を済ませて戻ってくると
「クルミ、今度例の遊園地。四人で行こうぜ」
「あーうん、そうそう。年明けになっちゃうけど楽しみしてるから今日の所は帰るね」
そして本当に二人は帰って行った。