初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
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「はい、どうぞ」と言って、相良さんの前にコーヒーとケーキを並べる。
今日がバレンタインだという事は当然知ってるはず。相良さんも紙袋を持っていたから、きっとその中にチョコが入ってるんだろう。だけどまさか目の前にチョコケーキを置かれるとは思いもしなかったのかもしれない。
ケーキを凝視する相良さんに、
「あ、っと。バレンタインだから。どうしても今日食べて欲しくて」
おずおずとそう言うと、相良さんはハッとして
「え?ていうか、まさかこれクルミちゃん作ったとか?」
「……うん、手作りなんて初めてなんだけど」
「まじで?」
「今までそういうの興味なかったから」
興味なかったっていうか、面倒が正解。そこまで一生懸命に何かしようなんて事思いもしなかった。
たまたま与えられた機会と気持ちが一致した。それだけのことだけど。きっとこれはそんな時期だったから。
「食べていい?」
目をキラキラさせてお皿を持ち上げてみてる。子供みたいな相良さんに「どうぞ召し上がれ」と言って微笑んだ。
「美味いっ」
その一言で肩の力が一気に抜けた。
甘いものが得意でない相良さんにリキュールの香りのするケーキはお気に召したようで、少しビターなチョコパウダーも功を奏したのか。といっても、もともとのレシピは神代さんが作ってくれたんだけど。