この暴君、恋すると手に負えません



私は疑いの眼差しを送って暫く様子を伺っていたが、暴君はやはり深い眠りについているようで一向に目覚めなかった。


「......これじゃ、動けないし」


ふと暴君に視線を落とすと、普段威張り散らしたすがたばかり見ているせいか、大人しく眠る姿が少し可愛いく見えた。


「......黙ってたら可愛いのに」


なんて、思わず恐る恐る暴君の頭に触れて、ぽんぽんと起こさないように撫でてみた。すると暴君は少し唸り声を上げつつも、寝言を洩らしていた。

「......早く、キス、しろ......」
「寝言でも言ってるし」

呆れつつも不思議と愛おしさもあって、私は困ったように笑ってそのまま暴君の頭を撫でていた。いつしかぎゅっとされた温もりの心地よさにウトウトして、気づいたら暴君の隣で眠りについてしまっていたーー......。



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