この暴君、恋すると手に負えません



振り返った瞬間、頰をぷにっと指で突かれてしまった。


「あー、やっぱり虹美ちゃんだぁ」
「み、光希さん!?」


思わぬ人物に遭遇し、私は驚きが隠せず声を上げた。その声は当然静まり返った廊下に響き渡る。

すると光希さんが自分の唇に人差し指を押し当て、しーっと子どものような仕草をしながら呟いた。

「深夜だから静かにね?」
「す、すみません。でも光希さん、こんな時間にどうしたんですか?」
「いやー、なんか寝付けなくてね。ちょっと外の空気吸いについでに真夜中のお散歩をしようかと思いまして」


ーーこんな時間に散歩だなんて、変わった人だ。


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