この暴君、恋すると手に負えません


「彼女の好きな人は帝くんだったんだ」


ーーやっぱり。


「......そう、だったんですね」

私は光希さんから視線を逸らして、足元を見下ろした。光希さんも足元に視線を落としながら話し続けていた。

「帝くんは、当時去る者は追わず来る者は拒まずで女遊び激しかったし、彼女の気持ちにも気づいてたからさ。焦った僕は、帝くんに奪われる前に彼女に婚約を迫ったんだ。きっぱり断られちゃったけどね」

当たり前か、なんて隣で笑っているが、きっと当時の光希さんはとても辛かったのだろうと思うと胸が痛んだ。

「でも僕は彼女が傍に居てくれるならこのままでもいいと思った。だけど帝くんはそんな僕の気持ちなんて知らずに、あっさり彼女を奪ったんだ。
彼女は女性執事でありながらとても有能な人だったから、その彼女の能力に惚れ込んだんだろうね。帝くんは僕の知らない間に僕の父と契約を交わしていたんだ」
「契約?」

あの朱鳳家にそんな有能な女性執事がいたのだなんて全く知らなかった。私が知る限りでは、有能な執事と聞くとやはり桐生さんしか浮かばなかったからだ。


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