この暴君、恋すると手に負えません


静まり返った空気の中、資料に目を通しながら小さな溜息を吐き出す暴君の横顔を私は見つめていた。

私の視線に気づいたのか、不意に暴君と目が合ってしまう。

「何だ?」
「い、いえ」
「......虹美、ちょっと動くな」
「え?」

私が間抜けた声を出していると、暴君はそのまま私の顔を覗き込む。そしてそのまま、ちゅっと音を立ててキスをした。

あまりにも一瞬の出来事だった。
唇が離れると暴君は頬杖しながら隣で悪戯な笑みを浮かべている。

「隣からお前の熱い視線を感じだから、欲しがってるのかと思ってな」
「な、何を欲しがってるっていうんですかっ」

私の反発に暴君は意味深に口角を吊り上げた。



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