この暴君、恋すると手に負えません
その時、今日の桐生さんはいつもと雰囲気が違う気がした。
もちろんお洒落をしているのもあるけど、なんとなくいつもより雰囲気が柔らかい。
その証拠に初めて桐生さんに”ありがとう”と言われた気がする。
桐生さんがソファーに腰掛けている間、私は紅茶を用意していた。
しかし何度見ても今日の桐生さんは綺麗だ。
あまりにも見つめていたからか、その視線に気づいた桐生さんは恥ずかしそうにぼやく。
「……あんまり見るな。何だ?」
「さっき、桐生さんにありがとうって言われたのが嬉しくて」
私の言葉に桐生さんはきょとんとした顔を浮かべたが、次第に目が細くなっていき小さな笑みを向けてくれたのだ。
「……私だって感謝の気持ちくらい伝える」
「そうですけど、嬉しかったんです。はい、紅茶どうぞ」
桐生さんは素直に紅茶が入ったティーカップを受け取ると、ふぅと冷ましてから喉を潤していた。
どうやら彼女は猫舌らしい。そんな知らない一面を知りながら私は意地悪な質問を投げかける。