この暴君、恋すると手に負えません
「そういえば光希さんのところに行かなくていいんですか?」
「こんな姿でいけるか、恥ずかしい……」
「綺麗なのにぃ」
「普段男装に慣れていると女装してる自分に抵抗あるんだ」
桐生さんは私から離れると膝を抱えて座るように体勢を変える。
あまりにも普段と違って自信がない彼女の背中を私はぽんと撫でた。
「女装じゃないですよ?桐生さんは女性なんですから。それに今日の桐生さん、とっても素敵です」
――その時だった。
誰かが部屋の扉をノックしたのだ。
「はい、どうぞ?」
私が声を掛けるとゆっくりと扉が押し開けられ、中に足を踏み入れた人物を見るなり私は笑みを浮かべる。
その隣にいる桐生さんもその人物をちらりと盗み見ては、驚いたように目を大きく見開いていた。
そう、私たちの目の前に現れたのは――……。