この暴君、恋すると手に負えません
「……ここにいたのか、円華」
そう、現れたのは光希さんだった。
少し髪を切っていたのもあり、普段より少しきりっとした大人のように見えた。
だが、あの緩い笑顔を見るとやはりいつもの光希さんのイメージに戻ってしまう。
私はソファーから腰を上げると部屋の外に出て、ドアの隙間から二人の様子を伺っていた。
「……光希様?どうして?」
「待ち合わせ場所に一時間前に着いて、待ち遠しくて来ちゃった」
「……そう、なんですね」
桐生さんは恥らっているのか顔を俯かせたままだった。
すると光希さんは桐生さんの目線に合わせて目の前で屈んだ。
桐生さんの両頬に手を添えて、顔を覗き込むなり優しく微笑みかける。
「今日は一段と綺麗だね、円華。とても似合ってるよ」
「み、見ないでください……っ」
「だめ、こんなにかわいい姿を見ないなんて勿体ないから」
「……恥ずかしいんで、せめて手は離してください」
「ふふ、どうしようかな?」
なんて、二人のやりとりを見ている私の方が照れてしまう。
「やっと上手くいったんだな、あいつら」
「え?」
背後から毎日のように耳にするあの甘く低い声に私は反応するように振り返った。