この暴君、恋すると手に負えません


「あ、帝!」

そして玲奈さんという美女は、帝さんを見るなり飛びつくように正面から抱きついた。

彼女はそのまま帝さんの唇をあっさり奪い、悪戯な笑みを浮かべていた。帝さんは動揺する事なく呆れたように玲奈さんを見下ろしている。


ーーって、今キスしてなかった!?


「おい、ここは日本だ。こういう挨拶は海外だけでやってくれ、玲奈」
「あぁ、ごめんね。私も海外生活のが長いからクセが抜けなくて」
「ったく、お前全然変わってねぇな」
「綺麗になったなってお世辞でも言ってよね!でも、帝は大人になっててびっくりしたなぁ。会うのいつぶりだっけ?」
「確か神楽坂会長の還暦祝いのパーティー以来だった気がするが、もう十五年も経ったのか」
「私も33になっちゃったしねぇ。帝は12月で30になるんだっけ?」


すっかり二人だけの世界で話し込んでいて、私たちはまるで蚊帳の外だ。その時、不意に玲奈さんと視線が合うと、彼女はにこっと笑いかけて首を傾げた。


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