この暴君、恋すると手に負えません
「……これはどういう事だ!?誉っ」
しかし一切動じる様子もなく誉さんは淡々とした口調で答えた。
「あぁ、お前を驚かせてやろうと思ってな。以前、神楽坂会長と食事をしていた時にお節介だろうが、お前にもいい縁談話がないだろうかと相談していたんだ。そしたら、玲奈さんはどうだってなってな?玲奈さんの方が年上だが婚約者の相手にするには申し分ないだろ?」
「最初にお爺様に帝の婚約者にならないかって誘われた時は、そういうの堅苦しいなぁって思ってたけど。とりあえず仮でも婚約者として、お付き合いからならしてもいいかなぁって思って」
――……それって帝さんの意思はどうなるの?
私は会話に入ることすら出来ず、ただ黙って話を聞いていた。
すると帝さんは真っ直ぐに前を見据えながら、私の肩を抱き寄せたのだ。
「悪いがその縁談、丁重にお断りさせてもらう。俺は虹美と結婚するって決めてんだよ」
帝さんの力強い言葉、それに私を抱き寄せる手が意外にも少し震えていた事から、それは帝さんの本心なんだという事に気づいた。
さっきまで誉さんの部屋で知った真実で、帝さんと目を合わせることもできなかったのに、気づいたら私は隣にいる帝さんを誰よりも近くで見つめていた。