この暴君、恋すると手に負えません



「……過去の事だとしても、なんか胸が苦しいんです。もし彼女と重ねてなかったとしても、モヤモヤするんです。帝さんが好きになった人の事だから、尚更、自分と重ねてるんじゃないかって気にしちゃうんです……っ」


すると帝さんは困ったように笑いながら、訴えかける私の額にそっと口付けを落とした。


「確かに結依の事は好きだったが、あいつはずっと誉のことを見てたの知ってたから。若さ故か、俺も当時はなかなか諦めつかなかったけどな、もう昔の事だ。だからお前を誰かと重ねてみてたりなんて、未練がましいことこの俺がするとでも思うか?」
「……わかりません」
「そうか、なら教えてやる」
「何をですか?」


そして帝さんはそのまま私の顎を持ち上げて、顔を傾けながら唇を押し当てた。


「……俺が好きになったのは虹美だ。素直じゃないし、俺のいうこと利かないし、危なっかしいところもあって放っておけねぇ奴だけどな」



何よ。
黙って聞いてれば好き放題言ってくれてるじゃない。


そんなむくれている自分も忘れてしまうほど、次に帝さんが告げた一言に私の心は簡単に掴まれてしまったんだ。







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