この暴君、恋すると手に負えません



「帝様と虹美の件です。最近の帝様はあまりにも見るに耐えません。まるで玲奈様の思うがままに動かされていて、今までの帝様ではなくなっているのです」
「……虹美がいなくなったこと、やっぱりショック強いみたいで」
「……そうだよね、二人とも本当は相思相愛なのにね。まぁ、虹美ちゃん強がりだから自分の気持ちは伝えてなさそうだけど」


確かにあれほど帝様が誰が見てもわかるほど想いを伝えているにも関わらず、虹美は素直に自分の気持ちは最後まで伝えなかった。


――まぁ、私も人のことは言えないが。



「俺、たまに虹美に連絡は入れて現況聞くんですけど、今は最寄り駅のカフェでバイトを始めたそうです」
「あの虹美ちゃんがカフェでバイト?」


それはきっと、前の会社にはもう戻れなかったからだろう。


私は虹美が帝様と契約を交わした日、帝様の命令で虹美が勤めていた会社と交渉していた。
一応彼女にも選択肢を残した帝様は、いつでも前の会社に戻れるように裏で手を回したのだ。


今だから言えるが、虹美が勤めていた会社はあの神楽坂会長の経営する子会社だった。
恐らく虹美もそれに気づいて戻るに戻れなかったのだろう。




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