この暴君、恋すると手に負えません
「この前、そのカフェに顔出しに行ったら帰りにこれを渡されて……」
ハチはポケットから携帯電話と小さな箱を取り出し、ローテーブルの上に置いた。
箱を開けると、レインボーローズの指輪が入っており、私はそれを見たのはこれで二度目だった。
以前、私が虹美の部屋に逃げ込んだ時に彼女の左手の薬指に入っていたもの。
それはきっと帝様からの贈り物だったのだろう。
時折その指輪に視線を向けては、無意識だろうが愛おしげに見つめていたからだ。
「……返せなかったから帝様に渡してほしいって頼まれたんです。あの時、今にも泣き出しそうだったのに無理して笑ってて、こっちの胸が苦しくなりました。でも俺も二人がこのままじゃダメな気がして、それで桐生さんに相談したら光希様に相談してみようってなって」
「……そうだったんだね。主人思いだね、君たちは」
光希様は目を細めながら柔らかく微笑んだ。
そしてソーサーを片手に紅茶で喉を潤した途端、光希様は悪戯な笑みを浮かべたのだ。
――私はその笑みの意味を知っている。
あれは光希様が本気で何かを企んでいる時にみせる表情だ。