この暴君、恋すると手に負えません
「俺は虹美と何があっても必ず結婚する」
帝さんの変わらない気持ちに、その強い意志に、私の心の中が一気に騒ぎ出す。瞬きをする事を忘れて、この迷いのない真剣な眼差しを見つめていた。
すると馨さんは皇帝の背中に手を当てて寄り添いながら、黙り込んでしまった皇帝の顔を心配そうに覗き込む。
「……ねぇ誉?社長としてじゃなくて父親として、息子の気持ちを尊重してあげても私はいいと思う」
「……だがもう手遅れだ。玲奈さんとの挙式はもう決まっている。今さらなかった事になんて出来る訳がない。神楽坂会長にこの事を知れてしまったらあの人の事だ、黙ってはいないぞ?」
「それなら問題ない。俺は最初から玲奈と手を組んで、神楽坂会長の事は玲奈に任せている」
すると皇帝は一瞬目を丸くしたが、すぐに目を細めて可笑しそうに笑った。
「……ははっ、この俺がお前のシナリオに負かされる日が来るなんてな。だが挙式は明日に決まっている。どうするつもりだ?」
「ご安心を。この俺を誰だと思ってるんだ?秘策はある」
「……言うじゃないか。その秘策とやらを明日楽しみにしている」