この暴君、恋すると手に負えません


聖なる夜の港はとても静まり返っていた。

車を走らせている帝さんも黙ったままで、だけど不思議とその空間が心地よかった。私は助手席の窓に映る帝さんの顔を見つめながら、さっきの自分のした行動を思い出す。


実は南くんは私にこう耳打ちしたのだ。


"男は好きな女の『だめ?』って言葉に弱い生き物なんです。だから今日彼氏さんを誘ってみたらどうですか?"


彼に感化されたと認めたくいが、素直になれるきっかけになれたことには感謝だ。

信号が赤に変わって車が止まると、帝さんは前を向いたまま口を開く。

「……虹美、少し寄りたいところがあるんだがいいか?」
「……あ、はい。でも何処に?」
「それは着いてからのお楽しみだ」

帝さんは何か考えがあるのか、意味深に口角を吊り上げている。私は何処に行くのかと気になりながらも、窓の外をずっと黙って眺めていた。



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