この暴君、恋すると手に負えません
「全ての人に理解して頂こうとは思っておりません。私の家族も受け入れるまでに十年はかかりました。会社の跡取りは弟が引き受けてくれて、私は申し訳を感じながらも誰にも頼らずに自分の力で前に進もうとがむしゃらに頑張ってきました。
ここにいる朱鳳帝もそんな私を理解してくれた一人です。私がこの体を手に入れてから、会社の経営に悩んでいた時に彼はこう言ってくれました。
”お前は自分の意思で選んでここまできた。それなら迷わずに突き進めばいい”と。
その後押しもあり、今では私の立ち上げたジュエリーブランドの名を世界にまで轟かせました。だから彼には感謝しております。
前置きが長かったですが、その恩人の朱鳳帝の父である誉前社長の頼みで私は”偽りの婚約者(フィアンセ)”を演じていました。
何故偽っていたのかというと、それは朱鳳帝が自ら選んだ”本物の婚約者(フィアンセ)”が本当に彼に相応しいかどうかを見極めるための試練のひとつとして、一役買わせて頂きました。恩人が選んだ女性ならきっと大丈夫だと信じて」
――”本物の婚約者(フィアンセ)”って私のこと……?
私は玲奈さんの言葉に驚きが隠せず大きく目を見開いた。
玲奈さんは、一瞬私の方をちらり盗み見て小さく笑いながら話を続ける。