この暴君、恋すると手に負えません


「決まってんだろ?二人きりになれる場所に行くんだよ」
「で、でも会見途中で投げ出して、それこそ大変な事になるんじゃ?」
「心配するな。俺には有能な執事がついてる事を忘れたか?」
「……え?」

するとヘリから縄ばしごが降りてきて、帝さんは掴むなり私に手を差し出した。


「ほら、お前も来るんだ」
「……で、でもっ」
「もう迷うな。俺の言葉を信じろ」


その言葉に私ははっとして、力強く頷くの差し出された帝さんの手を握り締める。

そして縄ばしごを上りヘリに乗り込むと、私は窓から会場を不安げに見下ろした。すると隣に座っている帝さんは、不安がっている私の頭を優しく撫でながら呟く。


「大丈夫だ。お前は何も心配しなくていい」
「……はい」



--あぁ、この人はやっぱり誰の手にも追えない。



最初に出会った時からそうだ。
世界はまるで自分を中心に回ってるんだと言わんばかりに、自分の思うがままに人を惑わす。


そして私はこの時に改めて気づいた。



この暴君は、恋すると誰の手にも追えなくなってしまうという事に--……。



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