この暴君、恋すると手に負えません


一方、二人が姿を消した後の会場は一刻も早く我が先に報道しようと大騒ぎしていた。


「朱鳳帝が婚約者と逃亡したぞ!?」
「おい、ヘリに乗り込むとこ撮り逃してないだろうな!?」
「もしもし、至急ヘリを用意してくれ!!朱鳳帝のヘリを追いたいんだっ」


収拾がつかない状況に見兼ねた玲奈様は、マイクを握り締めてステージの中央へと再び姿を現す。



「皆様!!ご静粛にっ!!」



キィーン……。



マイク越しで叫ぶ彼女の声に報道陣はぴたりと動きを止めて、一瞬にして静まり返った。



「度々お騒がせして申し訳ございません。この度は私、神楽坂玲奈と朱鳳帝の婚約取消会見での一連の出来事を報道する前に、是非皆様にお詫びも兼ねて観ていただきたいものがございます」
「な、何ですかそれはっ!?」
「ふふ、只今朱鳳家の使用人たちにご用意させております。是非お席にお掛けになって暫しお待ちくださいませ」



そして玲奈様の視線が送られると、私は再び天井を閉じようとボタンを押した。
徐々に天井が閉まっていき再び会場が暗闇に包まれている中、ステージ上の大きな幕が揚げられた。



< 370 / 409 >

この作品をシェア

pagetop