この暴君、恋すると手に負えません
その中は中央の通路に純白の絨毯が敷かれ、絨毯の両側には様々な彩りのレインボーローズが飾られていた。
甘い薔薇の香りが風とともに吹き抜けた瞬間、帝さんは私を見つめ膝をたてて腰を落とす。
「虹美、今から二人だけの挙式を始める」
「……え?」
「今日は本番だ」
「本番?」
その言葉を意味を理解するのに時間は掛からなかった。
帝さんは私の手の甲へ口付けを落とすと、手を取り合ったまま中へと歩き出す。
一歩一歩、二人で歩幅を合わせて歩くなんて、夢みたいで私のこれが現実なのかと未だに疑っていた。
神父どころか誰一人いないこの教会の中で、私と帝さんは互いの顔を見つめ合った。
いつ見てもこの妖艶な瞳はずるい。
吸い込まれてしまいそうな美しさで未だに見惚れてしまう。
瞬きをする度に、長い睫毛が揺れてそれがまた彼の色気を醸し出す。
――この整った唇に私は何度甘い口付けをしてもらったことだろう。
強引に奪っておきながらわざと焦らしてくる、そんな弄ぶキスもたくさんされた。
だけど一番好きなのは、まるで私を求めるように、愛おしむような優しいキス。
今もこうして帝さんを見つめていると、その甘い口付けが欲しくなってしまう。