この暴君、恋すると手に負えません



朱鳳財閥主催の親睦パーティーは、都内での名の知れた帝国ホテルで行われた。

上層30階のフロアを貸切って開かれるため、移動の手段はエレベーターでしかない。それにパーティーの参加者の顔とデータは全て桐生さんが把握している状況で、あの殺人予告を送った犯人は、本当に現れるのだろうか。


――でもそれ以上に私は気になって仕方ないことがある。
それはこの暴君との気まずい雰囲気だ。


いつも何かと絡んでくる暴君だが、車での移動中もずっと黙り込んでいた。
ホテルに着いてから車を降りると、暴君は深紅の絨毯の上を堂々と突き進む。


やはりいつ見てもその姿は威張り散らした王様のようだった。


この日のためにオーダーメイドで特注したらしいグレーのスーツは、奴の妖艶な雰囲気にとてもよく似会っていた。普段はセンター分けの長い前髪も、今日はかきあげていて普段よりも顔がよく見えるのもあって、さらに色気が増しているように見えた。



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