この暴君、恋すると手に負えません


ずっと黙り込んでいた暴君だが、急に立ち止まると振り返って私を見つめた。
あの真っ直ぐな瞳で見つめられると、逸らすことなんてできなくなってしまう。


「虹美」
「……は、はい」
「さっきは悪かったな」


――何それ、なんからしくない事言っちゃって。


私は少しむっとした表情を浮かべて、暴君の目の前まで歩み寄った。

「……何だよ」
「私は帝さんが嫌で泣いたわけではないですから。……帝さんに見つめられると、動けなくなってしまう自分が悔しかっただけですっ」

私は恥ずかしさを押し込めて、思ったままの気持ちを伝える。
すると次の瞬間、暴君はいつものように余裕に満ちた意地悪な笑みを浮かべて私の顎を持ち上げた。


「へぇ、いいこと教えてもらった。じゃ、このまま見つめてりゃ俺の好き放題できるってことか?」
「そ、そういう意味じゃ……っ」

急にいつもの暴君に戻って迫られるとやはり私は動けなくなってしまう。
すると私の前に救世主が現れたのだった。


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