この暴君、恋すると手に負えません
エレベーターが三十階で止まった瞬間、私と桐生さんは互いの顔を見合わせてた。
この扉が開いた瞬間に、と互いに感じたからだろう。
「扉を開けますので先に失礼致します」
先陣を切ったのは桐生さんだった。
扉が開くなり足早に会場の大きな扉へと足を向けていた。彼の様子を伺ったところ、恐らく現時点では何もないのだろう。
私の心の中で安堵しながら、暴君の背後について歩いた。
そして大きな重たい扉を桐生さんが開いた時、テレビでしか見たことがない光景を目にする。
特設ステージが構えた広いホールの中には、気品溢れる貴族のような面々が勢揃いしていた。どの人もあの名簿を見る限りでは名の知れた企業の代表取締役ばかりだろう。中に進んでいくと名簿で顔を覚えて社長の姿もあった。