この暴君、恋すると手に負えません
突然の出来事に会場にいる全員がどよめきを隠せなかった。
「何だ!?急に暗くなったぞ!?」
「何があったんだ!?」
不安の声が次々に飛び交う中、私はその間も暴君から目を逸らさないようにできるだけ距離を縮めた。
すると隣にいる暴君はイヤホンマイクをかけながら、私の頭を優しく撫で回す。
「虹美、大丈夫だ」
「……え?」
そして暴君が特設ステージの階段を上がった瞬間、スポットライトに眩く照らされた。
暗闇の中で唯一輝きを放っている暴君もとても美しく見え、私は思わず見惚れてしまった。
「皆様、本日は我が朱鳳家主催の親睦パーティーにご参加頂き、誠に有難うございます。
本日は気を張らずお酒を嗜みながら楽しんでいただけたら幸いです。ですが、その前に我々が現在手がけているアミューズメント施設『ネバーランド』で使用する新型VRが完成致しました。
メディアに発表する前に是非皆さん一人ひとりに体験して頂こうと思いご用意致しました。では私が指を鳴らしましたらお手元に見える新型VR『Evi(エヴィ)』をおかけになってください。では......」
ぱちんっ
暴君が指を鳴らす音がマイクを通して響き渡ると会場は一気に明るくなった。