この暴君、恋すると手に負えません



「皆様、度々の演出で不安を煽ってしまい大変申し訳ございません。先程、照明が落下致しましたが何の問題も御座いません。ご心配をおかけしまして申し訳ございません。只今、Eviの開発者と共に皆様が今宵楽しんで頂くための体験用ゲームをステージにてご用意しております。もう暫しこのままお待ちくださいませ」


ステージの幕が一時的に降りると、暴君は安堵の息を吐き出した。

そして皆はこの状況も演出のひとつだと思い込んでしまったのか、新型VRを片手にゲームが用意されるのを楽しんでいるようだった。


ーーその時だった。


「帝くん、ごめんごめーん。ステージ裏が迷路みたいで迷っちゃってて」


ステージ裏の通路から私の背後に誰かが歩み寄ったのだ。あまりにも危機感のない緩い声に此方まで力が抜けてしまいそうだった。




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