この暴君、恋すると手に負えません
「光希、相変わらずだな。お前のその方向音痴っぷりは......」
「へへ、それほどでも」
「バーカ、褒めてねぇよ」
光希と呼ばれる男は、暴君の目の前まで歩み寄るとヘラヘラと緩い笑顔を浮かべた。その締まりのない笑顔に暴君も呆れながら苦笑している。
私はその人物の顔を知っていた。
名簿リストに載っていた写真の中でも、その緩すぎる笑顔が印象的だったからだ。
ーー確かこの人はゲームプログラマーの……。
ふと私と目があった瞬間、光希という男は一瞬驚いたように目を見開いた。
「......帝くん?この女性は?」
「あぁ、紹介する。俺の護衛として雇った美作虹美だ」
「美作虹美です、よろしくお願い致します」
すると彼は何処かほっとしたようにまたあの緩い笑みを浮かべた。
「僕は東堂光希(とうどうみつき)、新型VR『Evi』の開発部ディレクターです。帝くんとは学生時代からの友達なんだ」
光希さんは私に握手を求めるように手を差し出した。私はその手を握り返すと、光希さんは嬉しそうに目を細めていた。