Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
「グレイ、疲れているようにみえるわ、
無理してるんじゃないの」
「平気だけど」
「お茶を淹れてあげる。ヴェイニーに教わったリキュール
入りの紅茶は本当に疲れがとれるの。
だから、暖炉の前の椅子で待ってて」
外には冷たい雨がふっていた。
木々は葉を落とし、粉雪の衣装をまとう冬の女王をのせた
雪色の橇(そり)が、もう北の山々のむこうに来ている、
と知らせる冷たい雨だ。
ミュアが紅茶を手にもどると、グレイは暖炉の炎に頬を照らし、
目をとじていた。
でもすぐに気づいて、うすく目をあける。
顔色が悪いわ、本当に彼は疲れている。
紅茶のカップを受けとり一口すすると、グレイは満足そうに微笑んだ。
疲れが影を潜め、ミュアは安心する。
「ヴェイニーの淹れる味と同じだ」
「でしょう? 褒めてくれる?」
「ああ」
「じゃあ、頭を撫でてね」
ミュアは跪き、頭を低くした。
グレイの手がやさしく触れる。
ミュアはグレイの膝に頭をもたせかけた。
静かに時間が流れていく。
外では、降り止まない雨にわずかな雪が混じりはじめていた。