Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
 

 その日ミュアは、ここに来てから一度も足を踏みいれたことのない
 二階の一室のドアが、わずかに開いているのを見つけた。

 この部屋にはいつも鍵がかかっている。
 
  ヴェイニーが、閉め忘れたのかしら。

 好奇心にかられ、ミュアはドアの隙間から中にすべりこんだ。


 
 部屋の中にはイーゼルが並び、たくさんの絵がおかれていた。

 重ねて壁にたてかけられているものもあり、
 描きかけのものもあるがすべてが完成度の高い、すばらしいと
 評価できるものばかり。

 
 静物や風景が描かれたものもあるが、大半がオーガを描いたもの。

 絵の中の走ったり、寝そべったりしている黒いオーガには
 角がないから、オニクスの絵だとすぐにわかる。


   
    「ひょっとして、グレイが描いたものなのかしら」
 


 絵の隅に記されたイニシャルは、G または G.D.A 、
 グレイ……、グレイ=デュア=アルメリオン


 そしてミュアはその中に一枚だけ、オニクスとは違うオーガと
 人物が描かれているものを見つけた。


 緑の芝生を銀の毛並みのオーガが走り、それをプラチナ-ブロンドの
 少女が、風に髪をなびかせ追いかけている絵。


  この、絵は……。




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