Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜


 昼過ぎになってグレイが館にやってきたとき、ミュアはすぐに
 鍵のあいていた部屋に勝手に入って、絵を見たことを謝った。

 でも謝ってすぐ、目を輝かせミュアは言った。


   
    「グレイ、あなた絵を描きつづけるべきよ。
     もちろん国王として大変なのも忙しいのもわかっているわ。
     でも、国王だって趣味の時間があってもいいでしょう?」



 グレイは複雑な顔になり、戸惑った声でミュアに尋ねる。


   
    「中に入って、絵を全部見た?」
    「ええ、まあ、大体はね、それに……あの、私……、
     銀のオーガと少女の絵を見つけて、もしかしたら、
     私とシルヴィなのかしらって……」



 ふぃっとグレイが目線をそらし、ミュアはグレイを怒らせたのかと
 ひやっとして、急いで言葉を続けた。


   
    「そうだったらいいなって思ったの、そうなら嬉しいって
     思ったわ、本当よ。
     とても嬉しくて、それも言いたかったの。
     だからあの部屋に入ったことを隠しておけなくて、
     怒られるとは思ったんだけど……」



 うつむきがちになって、声が小さくなり、それでちらっと上目づかいに
 グレイを伺うと、グレイはミュアを見つめていた。

 
 そしてグレイが一歩近づき、ミュアの手を取る。


 真剣な眼差しに、ミュアはどきっとした。


 グレイはミュアの手をためらうように何度も握りなおし、
 親指でやさしく撫でながらなにか言いたそうにした。

 だが、結局なにも言わず、うつむき首をふると握っていた手を離し、
 足早に出ていってしまった。




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