Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
ミュアはテーブルの上に置いた手を、きゅっと握りしめた。
野生のオーガを矢で射て、生け捕りにするなんてありえない。
それを国王への貢物にするのも馬鹿げているし、それを受けとるグレイも
グレイだ。
なぜ彼は、貴族の反感を買うようなことをするのだろう。
今も彼は、右手にワインのデキャンタ、左手にグラスを持ち、
ワインを注いでまわるという国王らしからぬ振る舞いをしている。
さっきまでの落ち着いたグレイとは別人だ。
大げさな身振りで列席している貴族たちに話しかけ、軽口をたたき、
満面の笑みをうかべている。
でもミュアは、グレイが少しも楽しんでいないように感じた。