Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
だが、ミュアは少しも気づいていなかったが、
少し離れたところにあるセコイア杉の陰には、グレイとトラビスがいた。
グレイは最初からここのことを知っているし、
何回もここを訪れているが、ミュアには一度も気づかれてはいない。
「満足そうですね」
トラビスが嫌味っぽく言う。
「ああ」
短く答え、グレイはミュアを見つめ続ける。
そこには、グレイの中に鮮やかに残る少女のままのミュアがいた。
よく笑い、はしゃぎ、愛情深い眼差しをオーガにそそいでいる ー ー。
高い金網で二重に囲われた敷地とニワトリ小屋二つ分ほどの大きさの
小屋のうしろは深い濃緑の針葉樹の森。
だが、森の手前の二本の大イチョウの木が、秋の盛りに
葉を金色に染めあげ立っていて
はらりはらり舞い落ちる葉で、あたりはまるで金色の絨毯を敷いたようだ。
明るい秋の日差しがふりそそげばその黄金色はさらに輝きを増し、
その中をプラチナブロンドの髪を揺らして、ミュアが黄褐色の毛並みの、
美しいオーガと歩く。
それは、ため息がもれるほど、美しい光景だった。