Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
あのときは銀のオーガだった…… とグレイは思う。
あのときも、緑の芝生の上を弾むように駆け、
やっぱり今のように開けっぴろげに笑っていた。
女のくせにと思ったし、自分のオーガが傷つき、腹がたったのも事実だ。
でも、ミュアはグレイの中に強烈な印象を残した。
温度を感じない、色のない世界に暮らしていたグレイ少年にとって、
それは鮮やかに心動く出来事だったのだ。
だから戴冠式の日に思わぬところで再会したとき、驚きとともに、
淑女らしからぬミュアの振る舞いに懐かしさをおぼえた。
でも、婚姻式でのとりすました表情には、腹がたった。
もっとも、貴族との軋轢にイラついてもいたから、
やつあたりに近かったのだが、また平手打ちされるとは
思ってもみなかった。
一緒に暮らせば、ミュアはやはりあのときのミュアで、
ただ、 “ 王妃 “ とう容れ物に自分をあわせようとしているだけだった。
そんな必要はないと言いたかったが、彼女は王妃となるべく定められた
女性なのだから、仕方ない。
でも、今はまるで……、王妃という名の血の通わない機械仕掛けの人形のようだ。
でも、ここにいるミュアは違う。
本当のミュアが、ここにはいる。