Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
グレイのとなりでトラビスがため息を落とす。
「木の陰から見守るだけですか? 大切なものは
手をのばさなければ、手にすることも、守ることも
できませんよ」
「俺の姿をみれば、ミュアは笑わなくなる」
「誤解をとけばいいじゃないですか!
昔からソフィーニアが、一方的におまえをおいかけてる
だけ、だろ!」
イラついたように、丁寧だったトラビスの言葉遣いが乱暴になる。
「誤解されたままのほうが、計画には都合がいい」
グレイの言葉にトラビスはむすっとし、横をむいた。
ー ー 間違えてはいけないー ー と、グレイは、心の中でつぶやく。
ミュアリスが、グレイの選んだドレスを着てあらわれた、あの日。
これほどあのドレスがよく似合うとは思わなくて、驚くとともに
喜びが胸を満たした。
トラビスにうるさく言われて選んだドレスだったが、
それでもミュアリスの姿を思い描き選ぶときは、わずかながらも心が躍り、
頬を染め、はにかんで礼をのべるミュアにまた、心が弾んだ。
だからだ ー ー。
身の程をわきまえず、心がおもむくままに振る舞った。
だが、檻に入れられた傷ついたオーガに、それを献上される” 自分 “に ー ー、
突然、冷水を浴びせられたように、目が覚めた。
間違えてはいけない、勘違いしてはいけない、望んではいけない、
すべては、” 嘘 “ なのだから……。
「昔も今も、俺が手に入れたいのは、自由だ。それ以外は、別にいい」
そう、吐き出すように言ったグレイの言葉は、どこにも届かず
秋の日差しに溶けていった。