Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
お盆を手にミュアの部屋をでたクロエは、壁によりかかるように
立っているトラビスに気づき、はっとした表情になった。
身体をおこし、手がつけられないままの食器がのっているお盆を、
トラビスが黙って見つめたので、クロエも黙って首をふる。
眉間のしわを深くし、トラビスは言葉なくうつむいた。
トパズのお腹の子はすでに亡くなっていて、それが体外にでるときに
大きな出血をおこしたことが、トパズの死因だと獣医は説明した。
説明を聞いたミュアは、崩れるようにその場にたおれ、
五日経った今も、起きあがることも、食事も満足にできないままだ。
そして、クノエひとりを側におき、だれとも会おうとしない。
ミュアは、はげしく自分を責めていた。
丈夫な赤ちゃんを産むためにと、トパズを小屋の外につれだし歩かせた。
あんなことをしなければよかった ー ー!
クノエは必死になって、それは違うとミュアをなだめたが、
ミュアは昂(たかぶ)り、泣き叫ぶ。
夢にうなされ叫び声をあげたかと思うと、眠っているのか起きているのか
わからないほどの頼りなさで、視線を宙に彷徨(さまよ)わせた。