Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
暗い暗い水の中で漂っているような意識が、何かに呼ばれ、
ミュアは目をさました。
まだ夜は明けきっていない。
明け方のうすく青い闇が、しんと静かに、そこにある。
そのとき、ベッドのある部屋と隣の部屋の間にある半分閉められた
カーテンが、ふわりと動いた気がした。
ゆらっと揺れる長い尻尾が、カーテンに隠れる。
見間違いだろうか? オーガの尻尾のように見えたけれど。
ミュアはゆっくりと身をおこしシルクの室内履きをはき、ガウンを羽織り、
ベッドからでて少しよろけながら、カーテンまで歩いた。
震える手でカーテンをつかみ、確かめる。
なにもない……、 カーテンのむこうにも、こちらにも。
でも、安心したような、残念なような気持ちになって目線を上げた先に、
黄褐色の毛並みのオーガがいた。
「トパズ……」
追いかけると、わずかに開いたドアのすきまから、
するりとトパズは出ていく。
引き寄せられるように部屋からでれば、静まり返った誰もいない廊下の先に、
トパズがいる。
「待って! 」
身を翻し軽やかにトパズは駆けだし、ミュアは夢中でそのあとを追った。