Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
気がつけば来たことのないところに来ていた。
いつの間にか王城の建物からは出ていて、城の敷地内だとわかるが
見覚えのないところだ。
トパズは姿を消している。
目の前には、ガラス張りのこじんまりとした建物があり、
温室のようだとミュアは思った。
トパズは、この中かしら……?
トパズは途中で、シルヴィの姿になったり、またトパズに
戻ったりした。
そんなことはありえないことで、よく考えれば幻を追っているだけ
とわかるのに、今のミュアはそのことに気づけていない。
ガラス戸を押せば、軋みながらそこは開き、
ちろちろと水の流れる音が耳に届く。
中はほんのりと暖かく、見たことのない縞模様のある木が
長い幹をのばして、緑の大きな葉を広げている。
あちこちにてんでばらばらにいろんな草や丈の低い木が
生えていて、ここは忘れ去られた場所のようだ。
手入れはされていない、咲き誇る花はない、
真ん中に広い木製のベンチのようなものがある。
興味をおぼえて二、三歩中へ進んだミュアは、ぐいっと後ろから
腕をひっぱられ驚いた。
そこにはミュア以上に驚いた顔をしたグレイがいて、訝しげに
眉をひそめる。
「ここで何をしている?」
「えっ?」
何をしに来たのだろう……そうだ、トパズを追ってここに……。
「トパズを追いかけてきたの、でも、途中で彼女は
シルヴィになって……、見失ってしまって、
ここだと思って……」
思いつくままにしゃべったミュアは、グレイが悲しげな目をするのを見て、
やっと自分の言っていることがオカシイということに気がついた。
「幻だったのね、私……やっぱりおかしくなってる」