Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜

 
 いたたまれなさや恥ずかしさ、悲しみや絶望がいっぺんに襲ってきて、
 ミュアはグレイから離れようとし、よろめいた。

 グレイの腕が背中にまわされ、それをささえる。


   
    「座ったほうがいい」



 グレイはミュアを真ん中にある広いベンチへと誘い、座らせた。

 寒くないかと問い、大丈夫だと言ったのに、暖めようとするかのように、
 グレイはミュアの肩を抱く。

 交わす言葉はそれ以上なくて、長い沈黙にたえかねたミュアは


   
    「ここは見たことのない草木が多いわ」



 と小さく口にした。


   
    「大陸の南、もしくはさらに南の島のものだ、
     だからここは温水をひいて暖かくしてある」




 とグレイが答える。


 たしかに夜着にガウンをひっかけただけの格好でも、
 それほど寒さは感じない。

 ふと、ミュアは、まだこんな日も昇らない時間なのに、
 グレイがきちんと服を着ていることに気がついた。


   
    「夜半過ぎまで執務室にいて、それでも眠れそうにないから、
     ここにいた」



 視線でミュアの考えていることがわかったらしくグレイが言う。


   
    「逃げ場所だからな、ここは。母がつくり唯一残したもの、
     いや、これもそうか」



 と襟元の赤いルビーにふれ、そしてそのまま考えをめぐらすように
 ルビーを弄っていたグレイは、ゆっくりと顔をめぐらしミュアを見ると、
 静かな声で言った。


   
    「もし体調がゆるすなら、少し出かけないか」




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