大切なものを選ぶこと
「自他共に認めるブラコンですので」
「ま、それもそうですね。美紅さん、蓮さんはこういう人だから気にしないほうがいいよー」
弘翔が小さくため息を吐いて頭を抱えた。
そんな弘翔の様子を見て葵ちゃんは凄い楽しそうだし…
「あらかじめ言っておきますが…美紅さん、私は貴方には一切の興味がありませんので」
「兄貴」
「黙っていなさい弘翔」
「………………」
「………………」
「………………」
「正しく言えば…そうですね。私は弘翔以外の一切の事に興味などありません。ですから、あなたが弘翔にとって害になったと私が判断した時は…弘翔が泣こうが叫ぼうが、あなたと弘翔を別れさせますよ」
最悪、貴女を殺すことになったとしても。
「………………」
「組での地位も金も、そしてこの命でさえ、弘翔の幸せに比べたら取るに足らないものですから」
「………………」
「もしあなたが弘翔の幸せに不必要な人間とあらば、貴女を殺して私も弘翔に殺されましょうか。それもまた本望です」
何を言ってるんだろうかこの人は…。
変な汗が首筋を伝う。
一人の人間が誰かに向ける感情としては重すぎる気がする。
なんて言えばいいのか…
目頭が熱くなってる気もするし、鳥肌が立っている気もする。
助けを乞うように弘翔へと視線を向けたその時──
「相変わらず、蓮さんも聖ちゃんと同じで一番言わなきゃいけないことをなかなか言わないタイプですよねー!」
リビングの扉が開き、何故か我が物顔で楓さんが入って来た。
「姉貴!?」
「あ、楓お姉ちゃん久しぶり~!」
「あら葵もいたのね。弘、いくら蓮さんが帰ってきて浮かれてたからって玄関の鍵閉めないのはどうかと思うわよ」
急な乱入者に頭が真っ白になる。
なんで…楓さんが…?
いや、それよりも…蓮さんに言われたことを反芻すればするほど、嫌われているのかなという不安が襲ってくる。