大切なものを選ぶこと
「またかって何よ!今回は絶対に聖ちゃんが悪い…!」
「楓…お前な…聖弥さん忙しいのに毎回くだらない事で迷惑かけるなよ」
「だから!今回は聖ちゃんが悪いのよ!」
「しかも毎回、俺の家に来るな」
「蓮さーん!弘が冷たい…」
楓さんの分のコーヒーを淹れて戻って来た蓮さんに泣きつく楓さん。ウソ泣きだけど…。
弘翔が小さくため息を吐いたのが視界に映ってしまった。
「聖弥君も忘れているわけではないと思いますよ」
「だって昨日の夜から組の仕事とか言って帰ってこないのよ!?今日の事、絶対忘れている…あの朴念仁!」
「なんの話だ?」
蓮さんと楓さんの話についていけてないのは私だけではなかったらしい。
というか…蓮さんは久しぶりに楓さんと会ったらしいのに、なんで主語のない会話が成立しているんだろう…。
「今日、私と聖ちゃんの結婚記念日なのよ!」
なるほど…。
それなのに聖弥さんが帰って来ないから楓さんは怒っていると…。
もう一度、弘翔が小さくため息を吐いた。そしてそのまま抱き寄せられて隣に座らせられた。
弘翔的にはいつものこと過ぎて楓さんと聖弥さんの喧嘩には興味がないらしい。
私は少しだけ気になってしまうけど。
「聖ちゃんが迎えに来るまで絶対に帰らないわ!」
「いや、いいからもう帰れよ…」
「蓮さーん!今回はどこに行ってたんですか?」
「おい無視すんな!」
「今回はドイツに言ってからシンガポールへ行って参りました」
「相変わらずですね~。一か月?二か月?」
「二か月弱ですよ」
あ、そうだ。楓さんと蓮さんの会話で思い出した。
ずっと蓮さんについて聞きたいことがあったんだ。
「…ねぇ弘翔?」
「ん?」
「蓮さんって組の偉い人なんだよね?なんで日本にいないことが多いの?」
「弘翔と昌之さんに無理やり国外追放されているんですよ」
「おい兄貴!人聞きの悪いこと言うなよ」