大切なものを選ぶこと
──声の方に目を向けると…私の大好きな、ずっと会いたかった人が立っていた。
後ろには藍色の髪をしたとんでもなく男前の人と、スキンヘッドにサングラスをかけているとんでもなく強面の人がいる。
「悪いな美紅。俺は待つよりも迎えに行く派なんだ」
そう言った秋庭さんはそのまま悠太と対峙した。
「な、なんだよお前!ここは部外者立ち入り禁止だぞ!」
物凄い剣幕で怒り出した悠太は、そのまま秋庭さんの胸倉を掴んだ。
──その瞬間…
「…ッッ!!」
秋庭さんの拳が悠太の顔に入り、悠太が真横に吹っ飛んだ。
「前に言ったよな、男が拳を握る時はガチでやり合う時だけだって」
「ッッ…」
「前に言ったよな、俺の大事な人を傷つけたらただじゃ済まさんと」
「ッッ…」
秋庭さんの本気で怒った顔を初めて見た。
それに…秋庭さんのこんなに低い声を初めて聞いた。
悠太の胸倉を掴んで立ち上がらせた秋庭さんはもう一度、拳に力を込めた。
だけどそれは…
「一発だけにしとけって言ったろ弘。一般人だぞ」
後ろにいる藍色の髪のイケメンさんが静かに止めた。
「おっ、お前なんなんだよ!美紅は俺のものだぞ…!」
「………………」
「お前さえ現れなければ美紅はずっと俺だけを愛してくれてたんだぞ!」