大切なものを選ぶこと
叫んだ悠太に、スキンヘッドの人と藍色の髪のイケメンさんは驚いたような顔をしている。
『弘にここまで言えるってスゲーな…流石は何も知らない一般人…。ね、純さん』
『うるせぇぞ、高巳』
小さな声で何かやり取りしたらしい二人を横目に秋庭さんは薄く笑った。
「そうか、お前の女を獲っちまうことになるのか。そりゃ悪いことをしたな」
‘だがな…’
「俺は美紅のこと大事にしてやりたいって思っちまった。申し訳ないが、本気で美紅のこと手に入れさせてもらうぞ」
「……………」
絶対的で圧倒的すぎるオーラに誰も何も言えなくなる。
──秋庭さんはベッドサイドまで来て、私の頭を優しく撫でた。
「なぁ美紅。待つって約束したのに勝手に来ちまってごめんな。こんなになるまで一人で頑張らせてごめんな。
伝えたい言葉と、言わなきゃならない事がたくさんある。あの時伝えられなかった言葉、今度は最後まで聞いて欲しいんだ」
優しく微笑まれて、私の大好きな声で言われて…
無意識に涙が頬を伝った。
「俺と一緒に来てくれないか?」
心臓がバクバクいってるのが自分でもわかる。
今ならもう…この手を取ってもいいんじゃないか…
あの時、秋庭さんに助けてって言わなかったこと、何度も後悔した。
悠太とのことは解決していない。
だけどもう…この人の優しさに甘えてもいいんじゃないだろうか…
───そう思って、秋庭さんの言葉に小さく頷いた。