大切なものを選ぶこと
──「どうぞ」
駐車場に着いて、スキンヘッドさんに後部座席に案内された。
車は某外国産のもので、何故か前も後ろもフルスモークだ。
運転席にはスキンヘッドさん、助手席に藍色の髪のイケメンさんが乗り込んだ。
「弘さん、アパートでよろしいんで?」
「あぁ、頼む」
「へい」
そんなやり取りがなされて、ゆっくりと発進した。
さっき秋庭さんが俺と一緒に来てくれって言ったから、どこか別の場所に行くのかと思ったけど…そっか、いつものアパートか…
「──…あの…皆さんって……」
「……着いたら全部話すよ」
私の言葉に低く返した秋庭さんは目を閉じてしまった。
──車内は微妙な沈黙に包まれた。
秋庭さんは目を閉じちゃったし、助手席のイケメンさんは何やらスマホを弄っている。
少なくとも、話しかけられる雰囲気ではない。
フルスモークの車って、外からは何も見えないけれど中からはしっかり見えるんだなぁ…
なんてどうでもいいことを考えながら車に揺られる。
病院からアパートまではそんなに距離がなかったみたいで、10分もすると見慣れた景色が広がってきた。
──「着きやした」
スキンヘッドさんに声を掛けられて、やっと秋庭さんが目を開けた。
その顔は何かを覚悟するような、決心したような…。