大切なものを選ぶこと


──「どうぞ」





駐車場に着いて、スキンヘッドさんに後部座席に案内された。




車は某外国産のもので、何故か前も後ろもフルスモークだ。





運転席にはスキンヘッドさん、助手席に藍色の髪のイケメンさんが乗り込んだ。






「弘さん、アパートでよろしいんで?」





「あぁ、頼む」





「へい」






そんなやり取りがなされて、ゆっくりと発進した。




さっき秋庭さんが俺と一緒に来てくれって言ったから、どこか別の場所に行くのかと思ったけど…そっか、いつものアパートか…






「──…あの…皆さんって……」





「……着いたら全部話すよ」





私の言葉に低く返した秋庭さんは目を閉じてしまった。







──車内は微妙な沈黙に包まれた。




秋庭さんは目を閉じちゃったし、助手席のイケメンさんは何やらスマホを弄っている。




少なくとも、話しかけられる雰囲気ではない。





フルスモークの車って、外からは何も見えないけれど中からはしっかり見えるんだなぁ…



なんてどうでもいいことを考えながら車に揺られる。





病院からアパートまではそんなに距離がなかったみたいで、10分もすると見慣れた景色が広がってきた。






──「着きやした」





スキンヘッドさんに声を掛けられて、やっと秋庭さんが目を開けた。






その顔は何かを覚悟するような、決心したような…。






< 60 / 231 >

この作品をシェア

pagetop