大切なものを選ぶこと


─真希side─



あー、今回の合コンは失敗だったなぁ…と飲みながらぼんやりと考える。




学歴も顔もいい人たちだけど、如何せん自意識過剰すぎる…てか、ナルシストでしょこの人たち!!





「ねぇ真希ちゃん。美紅ちゃんの彼氏ってどんな奴か知ってる?」





「タクミさん!美紅はホントにダメですって!」





「美紅ちゃんの顔、俺めっちゃ好みなんだよね。俺より条件のいい男なんてあんまりいないし…ガチで略奪しようと思ってね」







うん、やっぱナルシストだコイツ…。




確かに顔はモデルやっているだけあって良いし、W大生だから頭もいい、身長も180㎝くらいあるだろう。




でも美紅の秋庭さんとのノロケを散々聞かされた今、この人の付け入る隙は皆無だと思う。






「美紅の彼氏は会ったことないですけど、美紅と彼氏さんラブラブだからタクミさんの入る隙ないですよ~」





「そうかな?俺かなり自信あるんだけど?」





お前は自信がありすぎなんだよ!このナルシストが!!





美紅と由美子がトイレに行っている間にこんなやり取りが成され、これ以上このナルシストを美紅に近づけないようにしようと心に誓った。






──トイレから戻ってきた由美子と目が合って美紅を守る体制が取られたのに…




美紅を隣に座らせて口説きまくるこのナルシスト野郎には全く通用しなかった。






「じゃあそろそろなんかゲームしようぜ!」





女性陣の不穏な空気を悟ってか、男性側の幹事が声を上げた。




男性側の幹事にも彼女がいるらしく、男性側でまともなのはこの人だけだと思う…。




だけど…これがいけなかった。






山手線ゲームや王様ゲーム、普通に大学のサークルで行われるような飲み会用のゲームをしたんだけど…W大では負けた人が一定の量のお酒を飲むのがルールだった。




私たち健全な女子大生にその飲みサーのようなノリはキツイ…






しかも…



「はい、美紅ちゃん!飲んで飲んで!!」




美紅はあり得ないくらいゲームの類が弱かった。







これ…ホントにそろそろヤバくない…?




美紅はタクミさんの隣で半分寝てるし…




タクミさんは美紅のことお持ち帰りする気満々だし…





そう思って由美子をチラリと見ると、しきりに何やら電話をするようなジェスチャーを繰り返しながら私を見てくる。





あ、そうか。




彼氏さん迎えに呼んじゃえってことか…





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