紳士系同期と恋はじめます
「げんげんのおかげじゃん」
「本当に。感謝してもしきれないよ」
「優しいよね。げんげん」
「うん。本当に」
本当に元原さんは、優しいと思う。包容力も男らしさもあって、きっと結婚すれば、いい旦那さんになるんだろう。
明美ちゃんの言葉に深く同意すると、ビールを一口飲んだ明美ちゃんは、次の瞬間、ニヤリと笑みを浮かべた。
「でも、それって、本当に優しいだけなのかな?」
「え?」
「糸のことが好きで、守りたかったからじゃないのかな?」
「ええ!?」
元原さんが私を好き!?
「……ないないない!あり得ないから!」
社内一、二を争うイケメンが、地味で人見知りな私を好きだなんて、そんなこと!
空がひっくり返ってもあり得ないよ!
そんな私に、明美ちゃんはどこか不満顔。
「えー。そんなの聞いてみないと、分かんないじゃん」
「聞かなくても分かるって」
「そうだ!今から呼んじゃおう」
明美ちゃんはスマホを持って、立ち上がった。