王太子の揺るぎなき独占愛



 寂しい。

 レオンがイザベラと楽しそうに笑い合っている姿が目の前に浮かび、泣きそうになる。

 そして、サヤを抱きしめながらもイザベラの名前を口にしたレオンの声を思い出して苦しくなる。

「どれだけ頑張れば、レオン殿下は私だけを見てくれるんだろう……」

 大きなため息とともに肩を落としたサヤの姿に、ルイーズは目を細めた。
 サヤの陶磁器のようにキレイな肌は豊かな日差しを受けていっそう輝いている。
 ピンクブロンドの髪は風に揺れて艶やかに光っている。
 華奢な体を震わせレオンを思い悩んでいる姿は、本当に天使のようだ。
 思わず抱きしめたくなるほどかわいい。

「こんなにかわいい天使、殿下がなんとも思ってないわけないと思うんだけどな」
「え?」
「あー、なんでもない。サヤとレオン殿下が国王夫妻顔負けの、他人には迷惑な甘ったるい夫婦になれるように祈ってるよ」
「あ、甘ったるい?。それ、いいな……。じゃなくて、国王夫妻のように仲がいい夫婦になれるように頑張る」

 サヤは自信のない小さな声でそう言ったと同時に頭をぶんぶんと振り、弱気な自分を追い払った。

 ルイーズは、レオンが森に来たときにはいつもキョロキョロと辺りを見回し誰かを探していた姿を思い出していた。
 その誰かが、サヤであればいいと、口には出さず。



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